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第2回


「今度ソウルに行くんだけど、どこがお勧めですか?」
私が聞かれていつも困る質問がこれです。

ソウルは「韓国全土にあるもののほとんど全て」がぎっしり詰まっている「宝石箱」のようなもの。沢山のアイテムのなかで、どのアクセサリを選ぶかは、今日の装いを決めるあなたの考え次第です。

私が初めてソウルを訪れた84年から、ソウルはまるで「生き物」のようにどんどん進化し変化してゆくので、20余年かけて歩き回りましたが「これで全てを見尽くした」という心境には到底至りませんでした。ついにはソウルに暮らして連日ソウルを歩き回った訳ですが、それでもまだまだ足りません。ソウルはそれくらい多種多様な面白い事柄に満ちているのです。
特別な予備知識がなくても、誰もが無邪気に楽しめるものもあれば、背景や歴史を知ってこそ、知的好奇心が満たされ、奥深い楽しさを味わえるものもあります。
ソウルは旅人のニーズによっていろいろな切り口で楽しめる「複合テーマパーク」なのです。

「今度ソウルに行くのですが、韓国料理はなにが美味しいですか?」
同じように返答に困る質問に、こういうのもあります。

韓国に何度か行ったことがあるとか、日本でも韓国料理を食べに行くことがあるというような方なら、ある程度想像がつくようなお話をしてあげることもできますが、焼き肉と冷麺、キムチとビビンバぐらいしか思い浮かばないと言う方に、屋台で食べるトッポッキのようなファストフードから五味五色を駆使した絢爛豪華な宮廷料理、旬の素材を使った郷土料理など多種多様な韓国料理を言葉で説明するのはとても難しいことです。
ところで、私が韓国を案内して差し上げた方のなかで、
一番上手くプランニングできたと思えるのは、「お茶人」でもある恩師の一行をお連れした時でした。
歴史ある古いお寺、焼き物の里、陶磁器の窯場はもとより、オンギとよばれるキムチ瓶の製作工房などを巡り、お食事は伝統ある韓定食や静かな山間にある焼肉店。民族舞踊をご覧に入れて骨董店などを案内したら、もうそれはそれはご満悦でした。
こんな風にその方の 目的や趣味嗜好がはっきりしていると、こちらもどんどんアイディアが湧いてくるわけです。


皆さんがソウルを訪ねる時も同様です。できるだけ目的をはっきりさせる方がプランを立てやすいもの。
しかし大部分の方は「いろいろあって楽しそうだから」と、漠然とソウル行きを考えられることの方が多いようです。連れて行かれるまま、与えられるままの旅では、振り返ったとき「旅の想い出」までがぼんやりしてしまいそうです。
けれど、たとえソウルの定番コースを巡ったとしても、旅する人の目的意識がはっきししていれば、瑞々しい発見や人との出会いに感動する「思い出深い旅」を演出することは可能です。
肝心なのは「どこへ行くか」ではなく「何を求めるか」を自分自身に対してはっきりしておくこと。そうすれば念願のものを目にしたとき、体験できたときの喜びも倍増し、感動と出会いに満ちた、「充実した旅」になるのだと思います。

 
ソウルの旅をプランニングする!

ソウル旅行を計画している人にアドバイスを求められたなら、私はまず、どんな旅を求めているかを尋ねると思います。

・ 朝鮮王朝を探訪しながら悠久の歴史ロマンを
 堪能したい
・ 伝統音楽や舞踊を見てみたい
・ 陶磁器や李朝家具、骨董品などを求めたい
・ 日本では味わえない美味しい韓国料理を
 楽しみたい
・ とびきり安くて可愛い服や雑貨を買いたい
・ 韓国のお風呂やさんでアカスリ三昧。日頃の
 疲れを癒したい
・ 日本より進んだ韓方医学を体験してみたい
・ 評判の演劇や映画、ミュージカルを見てみたい
・ 韓流に興味があり、ドラマのロケ地やセットに行ってみたい
・ ソウルの専門市場で(革ジャン・ウエスタンブーツ・メガネ・ウエディングドレス、ブランドの
 アウトレット商品などなど)を買いたい
・ ロッテワールドや民族村で、家族とのんびり過ごしたい
・ 板門店や国境近くへ行って、分断の状況を見学したい
・ クラブやディスコでちょっとスリリングな夜をすごしたい

※ もしもあなたがこれ以外のことをお望みなのだとしたら、すでに相当高いモチベーションをお持ちです。もはや私のアドバイスはいらないでしょう。
 

いかがですか?
こうして列挙してみると、このなかのどれか(または複数)には当てはまっているのではないでしょうか。大切なのはご自身が「何をソウルに期待しているのか」ということを「漠然」とではなく、より「具体的」にイメージすることだと思います。
次には自分が 是非行ってみたい、これは落とせないというところをお手持ちのガイドブックの地図や、お近くの韓国観光公社で無料で手に入る地図などに印をつけてゆきましょう。
そして自分たちが利用する宿泊先のホテルとの位置関係を考えてみると、自ずと「動線」が見えてきます。
その時、とんでもなくはずれているアイテムは次回に回すことにして、むしろもっと無理のない場所に「見所」として紹介されているようなところを加えてみるのもいい方法です。
「あまり期待もしていなかったのに、実際行ってみたら良かった」という体験は誰にもあるものです。一分の隙もなく作り上げるより、ちょっと「サプライズ」な要素があるのもワクワク感があって良いものです。

 
「時は金なり」。限られた滞在期間で多くの目的を達成する為には、移動時間のロスを無くすことは重要です。
短い旅でも合理的に動くことで沢山のアイテムを詰め込むことができれば、より満足のいく旅になるはずです。

ところで、旅先で美味しいお食事をいただくことができると、更にその国の印象は良くなり、楽しい食卓を囲んだ想い出は忘れがたいものになりますよね。どんなお料理をいただくか、これもまた真剣に考えたいものです。

私ならまず晩ご飯から決めてゆきます。 一日目はカルビやプルコギ、サムギョプサルなどのお肉料理。 二日目はヘムルタン(海産物鍋)やふぐ鍋、蟹やアンコウ蒸しなど海産物関係という具合です。
三泊する場合は韓定食や山菜料理、豆腐料理、勇気があれば犬料理など、ちょっと「変わり種」から選ぶというのはどうでしょう?

ビビンバや冷麺、参鶏湯やソルロンタンなどの料理はどちらかといえば昼に手早くいただくメニューです。次の目的地への移動の途中で立ち寄れるような位置のお店を見繕っておくとよいですね。

 
さて、では朝ご飯はどうしましょう。
これこそ市場のなかにある屋台のようなところでいただくのも一興。ここは買い物客や市場で働く人たちが気軽に訪れるところです。普通の食堂とはまた違った、韓国人の生活の中にとけ込んだ気分を味わえるはず。

朝の街角には出勤途中のサラリーマンを当て込んで、道端でエッグトーストを売る屋台もあります。こんなところで立ち食いしてみるのも面白かったりします。

 
また、本格的にいただくと値の張る韓定食などは昼時を狙うのも良いかも知れません。有名フランス料理店でもランチメニューはお手軽に味わえる安価なコースがありますよね。あの感覚です。

旅は工夫しだいでどんどん楽しくなってゆくものです。 プランを練る時間もまさに「旅の一部」。 みなさんも地図とにらめっこしながら自分なりのオリジナルなコースを沢山つくってみてください!!
 


女優・エッセイスト 

東京都出身。映画・テレビドラマなどで女優として活躍する一方、芸能界きっての韓国通として知られる。
テレビコメンテーターや日韓関連のイベントにも数多く出演、講演活動なども活発におこなっている。
韓国観光名誉広報大使、日韓交流おまつり2009実行委員も務め、著書に『ソウルマイハート』『ソウルの達人 最新版』(講談社)などがある。
韓国地方の魅力を紹介したDVD『Ryu・黒田福美が行く韓国四季の旅』も好評発売中。
09年は『ビバリーヒルズチワワ(吹き替え)』(Disney)、『ゼロの焦点』(東宝)に出演。

黒田福美さんのブログ http://ameblo.jp/kuroda-fukumi/




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